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送信編と受信編では、どちらも最終的にdmarc=passという同じ結果でしたが、その内訳(SPF/DKIMそれぞれのアライメントの成否)は正反対でした。この違いがなぜ生まれるのかを、DMARCの判定ロジックに沿って比較します。
目次
1. 結論:なぜ判定内容が異なるのか
1つ目のケース(送信:自宅サーバー→Gmail)と、2つ目のケース(受信:Gmail→自宅サーバー)では、「SPFの認証ドメイン」と「メールの送信元(Fromドメイン)」の一致関係(アライメント)の判定内容が異なっています。
| ケース | 内容 |
|---|---|
| 送信時(自宅サーバー→Gmail) | 外部のリレーサービス(Brevo)を仲介して送信したため、SPFのドメインとFromドメインが異なっていた(アライメントは不一致だが、DMARCはDKIMの成功によってPASS) |
| 受信時(Gmail→自宅サーバー) | Googleのサーバーから直接送信されたため、SPFのドメインとFromドメインが完全に一致していた(アライメントも一致してDMARCはPASS) |
この違いを、「単体のPASS」と「DMARCのアライメント(一致確認)」の2つの視点から詳細に比較します。
2. ケース1:送信時の判定(自宅サーバー yama.mydns.jp → Gmail)
外部リレー(Brevo)を経由したため、判定が少し複雑なパターンです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Fromヘッダーのドメイン | yama.mydns.jp(自分) |
| SPF検証ドメイン(Return-Path) | hb.d.sender-sib.com(Brevoのドメイン) |
| DKIM署名ドメイン(d=) | yama.mydns.jp(自分) |
DMARCの判断プロセス
| ステップ | 判定内容 | 結果 |
|---|---|---|
| 1. SPF単体の検証 | 送信IP(77.32.148.28)は sender-sib.com(Brevo)の正規サーバーである | SPF PASS |
| 2. DMARCのSPFアライメント | Fromの yama.mydns.jp と、SPFの sender-sib.com は一致しない | 不一致(NG) |
| 3. DKIM単体の検証 | yama.mydns.jp の鍵で署名されており、改ざんもない | DKIM PASS |
| 4. DMARCのDKIMアライメント | Fromの yama.mydns.jp と、DKIM署名の yama.mydns.jp が一致 | 一致(OK) |
★ 最終判定(DMARC)
DMARCは、SPFかDKIMのどちらか一方でもアライメントが成功していれば「合格」と判定するルールです。今回はDKIMが一致したため、総合結果として dmarc=pass となりました。
3. ケース2:受信時の判定(Gmail → 自宅サーバー yama.mydns.jp)
Gmail(Google)が自身の巨大なインフラから直接送信したため、非常にシンプルなパターンです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Fromヘッダーのドメイン | gmail.com |
| SPF検証ドメイン(Return-Path) | gmail.com |
| DKIM署名ドメイン(d=) | gmail.com |
DMARCの判断プロセス
| ステップ | 判定内容 | 結果 |
|---|---|---|
| 1. SPF単体の検証 | 送信IP(209.85.167.52)はGoogleの正規サーバーである | SPF PASS |
| 2. DMARCのSPFアライメント | Fromの gmail.com と、SPFの gmail.com が一致 | 一致(OK) |
| 3. DKIM単体の検証 | gmail.com の鍵で署名されており、改ざんもない | DKIM PASS |
| 4. DMARCのDKIMアライメント | Fromの gmail.com と、DKIM署名の gmail.com が一致 | 一致(OK) |
★ 最終判定(DMARC)
SPFとDKIMの両方のアライメントが成功しているため、文句なしで dmarc=pass となりました。
4. 比較まとめ
| 項目 | 送信時(自宅→Gmail) | 受信時(Gmail→自宅) |
|---|---|---|
| SPF単体 | PASS | PASS |
| SPFアライメント | 不一致(経由:Brevo) | 一致(直接送信) |
| DKIM単体 | PASS | PASS |
| DKIMアライメント | 一致 | 一致 |
| DMARC最終判定 | PASS(DKIM側の一致で合格) | PASS(両方一致で合格) |
5. 技術コラム:SPFのPASSとDMARCアライメントの違い
「SPFがPASSしている=DMARCも自動的にPASSする」とは限りません。
単体のSPF = PASS とは
「メールを送ってきたサーバー(IPアドレス)が、その配信システム(例:リレーサービスやメルマガ配信システム)にとって正規のサーバーである」という証明に過ぎません。
DMARCの役割
DMARCは一歩踏み込んで、「メールの差出人(From)として画面に表示されているドメインが、SPFやDKIMで認証されたドメインと同一(アライメント)かどうか」をチェックします。
外部の配信リレーを利用する場合、SPFのドメイン(Return-Path)がリレー会社のものになるため、SPFアライメントは不一致になります。しかし、自社ドメイン(yama.mydns.jp)で作成したDKIM署名さえしっかり付与されていれば、DMARCはそれを評価して「本物」と認めてくれます(DMARC PASS)。
これが「DKIM導入が必須」と言われる理由
これこそが、SPF単体運用からDMARC運用へ移行する際に「DKIMの導入が必須」と言われる技術的な理由です。外部リレーサービスを1つでも使う運用では、SPFアライメントだけに頼ることができないため、DKIM署名による担保が実質的に必須になります。
SPF・DKIM・DMARCの関係、これで一通り整理完了 🎉
送信編・受信編・アライメントの違いまで確認し、送信ドメイン認証の全体像を把握できました。生ヘッダーでの確認は「Gmailメールヘッダ解析」、通信の流れは「メールシーケンス及び解説」もあわせてご参照ください。